専門家に相談すべし④保護命令申立(DVに詳しい弁護士さん、DV相談支援センター、警察)

Stop DV はじめに
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先述(専門家に相談すべし③(自治体の相談室))の経緯で、DVに詳しい弁護士さんの法律事務所へ相談に行きました。

「まずは、保護命令ね!」と提案されました。

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DVは命にかかわること。深刻な対応を!

DVに詳しく弁護士さんとの初回の法律相談で、保護命令を提案されました。

驚きました。

なぜなら、それまでの相談先では、保護命令の提案は、一切、無かったからです。


DVについて知識のない人への相談では、保護命令の話題が上らなくても仕方がないと思います。

けれども、自治体のDV相談室から「保護命令」についての説明すら無かったのは、お粗末な対応では?

というのが現在の視点からの印象です。

保護命令について規定されているDV防止法が施行されたのは2001年で、私が離婚に動き始めた頃は既に数年が経過していました。

自治体のDV相談担当者が保護命令の存在を知らなかったはずは無いと思うのですが・・・。

確かに、私自身が「自分たち夫婦の事案は、本当にDVなのだろうか?」という疑いを持ちながら相談に臨んだので、担当員の方々には緊急性が無いケースと判断されたのかもしれません。

当時の私は、思考力が低下していて、ぼんやりしたのんびり屋の印象を与えていたと思います。

長期間DVに曝されると、被害者は無気力になり、覇気が無く、判断力が鈍っています。
思考や感覚が麻痺してしまっています。
DVの被害者は、被害について打ち明けられない。参照)

周囲の人が冷静に客観的に判断し、慎重な対応をとることが大きな支援になると思います。

上述のDV相談(自治体の面接相談・法律相談)と、DVに詳しい弁護士さんへの法律相談の際に、ほぼ同じもの(被害についてのメモ、殴られた時の診断書、など)を持参したのですが、後者の弁護士さんは、すぐさま「保護命令」と判断してくださいました。

つまり、命の危険が有ると第三者の冷静な目でアドバイスをくださったのです。

公的機関と民間の違いでしょうか?


近年の事例から考えると、DVやストーカー等への対策は、過剰なくらいで良いと私は思います。

何か有ってからでは遅いのです。

DV防止法が施行されてから20年以上経っている現在では、保護命令などDVに関する情報もかなり周知されてきているので、被害者に対する支援が的確に円滑に進むよう、様々な改善がなされていると信じたいです。

DVだけでなく、虐待やパワハラ等々も、楽観視してはいけない犯罪です。

取り返しがつかなくなってからでは、遅いのです。
後悔だけでは済みません。
一生の罪悪感に苛まれます。

実際に私は、大切な人・大事なものをたくさん失いました。

犯罪を軽視せず、慎重かつ深刻な対応をお願いいたします。

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保護命令とは

かんたんに言うと、DV加害者に対して「被害者に近寄るな!」っていう裁判所からの命令です。

配偶者(事実婚も含む)が対象です。

保護命令(内閣府の男女共同参画局)


保護命令手続について(裁判所のサイト)


保護命令は、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律。2001年10月13日施行)に規定されています。

配偶者暴力防止法(内閣府の男女共同参画局)


↓こちらのサイトも参考になります。
「DV防止講演会」講演録(東京ウィメンズプラザ)


類似の法律として、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律。2000年11月24日施行)があります。
こちらは、刑法です。

ストーカー規制法(警視庁ホームページ)


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保護命令申立について

保護命令という手段をとることについて、当時は、すごく悩んだのです。
担当してくださることになる弁護士さんとの初回相談で、「まずは、保護命令ね!」と提案され、精神的にすごくショックを受けました。

そんなに大袈裟なことをしなきゃいけないの?とグルグルと考え込みました。

当時は、本当に、甘い考えをしていました。

今から考えると、元オットはかなり危険なヤツなので、もっと早くに決断すべきでした。

弁護士さんが提案してくださってから約1ヶ月後、職場の保健管理センターの心理学の先生によるカウンセリングでも「保護命令」についての心の葛藤を相談しています。

ちなみに、弁護士さんの初回面談から1週間後(ようやくオットが家を出て別居成立の次の日)に、私は帯状疱疹を発症し、1ヶ月ほど背中の痛みに苦しんでいる。ストレスMAXによる、免疫力低下である。

保護命令の申立を行う

悩み苦しみつつ、弁護士さんの提案から約1ヶ月半後、保護命令の申立(もうしたて)を行いました。

今は、保護命令という手段で、正解だったと思っています。

オットは、裁判の回答陳述で、ガラス戸破壊事件のことを「頭の中が真っ白になりました。」と述べている。
「頭の中が真っ白になって」ガラス戸を破壊したと言うのなら、「頭の中が真っ白になっ」たら、妻や子供に対しても何をするか分からないってこと。
そんなヤツを日常社会に放しておくのはアカンと思うのですが・・・。

それほど深刻な事案なのに、当時の私はDV被害で思考が麻痺していて、保護命令という厳しい手段をとることに躊躇していたのですが、担当の弁護士さんは、冷静に判断してくださいました。

(数年前、知人からDV被害の相談を受けたので、この弁護士さんを紹介したのですが、保護命令のことは言われなかったようです。何でもかんでも保護命令ってわけじゃなく、ケース毎に判断されていると思います。)

私の場合は、命の危険に曝されていたのだなあ。

保護命令手続の流れ

保護命令申立の手順は、上述の保護命令手続について(裁判所のサイト)を参照なさってください。

また、大阪地方裁判所のサイトにも分かりやすく書かれてあります。

配偶者暴力等保護命令手続について(大阪地方裁判所のHP)


当時の私は、何の知識もなく、よく分からないまま、弁護士さんの指示通りに動きました。
当時…約20年前。
インターネット環境が徐々に普及・浸透しつつある頃で、国や自治体のホームページなどはまだまだ充実していませんでした。
保護命令については、「内閣府の男女共同参画局」のホームページに説明されているのを見つけましたが、現在のように弁護士事務所等が詳しく解説してくれているようなサイトは有りませんでした。

DV被害のため既に疲労し切っていて、自分で徹底的に調べるという気力も無かったです。


ただ、弁護士さんから保護命令の提案を受けてから1ヶ月以上かけて徐々に決心を固めました。

この弁護士さんを信じて、ひとつひとつアドバイスに従って闘っていこう」と。



配偶者暴力相談支援センターへの事前相談

まずは、配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所、女性相談センター)へ相談に行きます。

私一人で行きました。
センターの人は、弁護士さんのことをよくご存知のようでした。

上述の保護命令手続についてのサイト(裁判所)に書かれてあるように、

  • 警察署(生活安全課等)
  • 配偶者暴力相談支援センター

のどちらかに事前相談をしなければなりません。

私の場合、
後述しますが、裁判所へ保護命令の申立(もうしたて)をした後、命令が発令されて効力が発生するまでの間、加害者からの接触を遮断するため、このセンターに避難して匿っていただく(一時保護)ことを弁護士さんから強く勧められ、申立の事前相談先として配偶者暴力相談支援センターを訪ねたのです。

申立の書類を準備する

  • 申立書・・・弁護士さんが作成してくださった。
  • 陳述書・・・DV被害の状況を具体的に文章にする。(作成に2週間くらいかかり、A4サイズ3頁(3000字程度)にまとめました。)
  • 診断書・・・新婚2ヶ月で顔面をボコボコに殴られた時のもの。保護命令申立から8ヶ月前のガラス戸破壊事件(オットが大暴れして、素手でガラス戸を破壊)のオットの大怪我の診断書。私の鬱症状についての診断書。


(必要書類の詳細等は、担当の弁護士さんや申立先の地方裁判所にご確認ください。)

地方裁判所へ申立

いよいよ、弁護士さんと一緒に、地方裁判所へ申立。

私の審尋。

当日の午前中、弁護士さんから電話連絡をいただき、「アナタの審尋、今日の15:30か16時、どっちがいい?」と聞かれました。

裁判所に対して「申立に行くからねー」という旨の連絡を弁護士さんがしてくださったのだと思います。
(各地方裁判所の保護命令申立に関するサイトに、「来庁予定を事前にご連絡ください」と書かれています。)

などを参照のこと。

警察署へ

申立の前日、配偶者暴力相談支援センターの方から電話連絡をいただき、
「保護命令申立と審尋の後は、(管轄の)警察署へ一時保護を頼むように」とのことでした。

よって、地方裁判所へ申立に行ったその夜、わが子たちを連れて、警察署へ。

警察署から配偶者暴力相談支援センターへ

警察署から配偶者暴力相談支援センターへ移送していただきました。
ここで、一時保護をしてもらいます。いわゆるシェルターってところです。

ここでは、現金、クレジットカード類、貴重品、携帯電話などを預けなければいけませんでした。
(DV被害者の中には、やっと逃げる勇気を出せたにも関わらず、加害者の元へ戻っちゃう人がいるみたいなので、それを防ぐための措置だと思います。)

なぜ一時保護をお願いするのか。

裁判所からオットに通知が届くと、おそらくヤツは逆上するでしょう。

そして、私に連絡を取ろうとします。

そのまま自宅に居れば、押しかけてくるでしょう。

考えただけでも恐ろしい・・・。

実際、オットは、私の伯母に連絡したようです。

  • 「ミヤコはどこに居るのか?」
    →伯母にも友達にも職場にも、一時保護の場所を伝えていない。
  • 「保護命令申立を取り下げるよう、ミヤコに伝えてほしい」
    →伯母や友達には、一時保護中は連絡を取り合うことができないと伝えていた。



一時保護の準備として
  • 職場へは、休暇を出しておいた。
    (わが子たちの小学校・保育園は、休暇中の時期でした。)
  • 申立の前日、管轄の郵便局へ行き、郵便物局留めの申請。
    →次の日、地方裁判所へ向かう車の中で弁護士さんにお伝えすると、「法律事務所へ転送してもらっても良かったのに」と仰ってくださった。
    「郵便局へ電話して『本人以外には郵便物を渡さないように』と頼んでおくように」とのアドバイスも。
    しかし。
    申立の後、帰宅してから郵便局へ電話をしたのだが、「オットが郵便物を取りに行ったら、郵便局は郵便物を渡してしまうかもしれない」ということだった。時間の無駄でした。
  • 家を2週間ほど不在にするので、コンセント等を抜いておく。
  • 電話線も抜いておこうかと考えたが、そのままにして留守番電話モードにしておいた。
  • 貴重品(通帳や保険証券など)を自宅外の安全な場所に移動しておく。
    (私は、職場の自分の机の鍵付きの引き出しに、こっそり入れておきました。その鍵は財布の中に厳重保管。)
  • 鍵屋さんに頼んで、自宅の鍵を交換しておく!!
    (私の場合は、申立の約1ヶ月前にオットとの別居に成功しています。
    が、オットが要求してきた別居の条件の一つに、『私の住居の鍵をオットが持っておく』という非常識かつ恐ろしいものがありまして。
    ↑要求というより強要なんですけどね。「条件を飲まないのなら、別居しない!」という強迫。)
  • 鍵を替えても心配なので、避難前に自宅内の部屋の様子を写真に収めておく。
    (一時避難が終了し帰宅した時、室内に異変が無いか確認する。)
  • さらに念の為、わが子たちの制服は、信頼できる友人に預かってもらった。
    (この友人が、申立の日の夜に警察署までタクシーで送ってくれました。)


(その他)

  • 新聞を契約している場合、連絡して止めてもらう。(私は購読していませんでした)



配偶者暴力相談支援センターで12日間過ごす

伯母や友達、職場などに、オットによる迷惑がかかっていないだろうか?
オットは裁判所からの通知をちゃんと受け取るだろうか?
オットは審尋を承諾し、ちゃんと出廷するだろうか?

もし、申立が却下されてしまったら、即時抗告というのをしないといけないらしい。そうなると、このセンターは最長2週間の滞在と決まっているらしく、私たち(私と子ども達)はどうなるのだろうか?

などなど、不安の日々を過ごします。

約1週間後にオット側の審尋があり、次の日に保護命令が発令されました。
(こういった情報は、センターの事務所の電話機をお借りして、弁護士さんから得ていました。)

しかし、命令の効力が発生するのは、発令されたことの通達をオットが受け取ってからです。
オットが受け取ったという配達記録が裁判所に送り返され、裁判所から警察署に連絡が入るまで、さらに数日かかります。

ひたすら待ちます。

私の場合、申立を行ってから計12日間、配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所、女性相談センター)で一時保護していただきました。

約2週間、職場へも学校へも行けないのです。

なぜ、被害者側がこのような不利益を被らなければならないのか?

申立の後、すぐにでも加害者側が拘束されるべきでは?
と思うのですが、申立人(被害者側)がDVを捏造するケースも有り得るので、この要望が実現されないのは理解できます。

ならば、発令の直後、最低でも同期間(2週間)、加害者を拘留するというのは、どうでしょう?


そうじゃないと、被害者にとって理不尽じゃないですか?
被害者側だけが負担を強いられるのは、おかしくないですか?
それでなくても、長期間にわたる被害を受け続けているのに。

DVは犯罪ですし。

DVは犯罪なのに、加害者側には接近禁止命令だけで、何のお咎めも拘束もナシ。

今から考えると、オットが暴れた時に被害届を出すべきだったのだなあ!

とは言え、当時はDVであることを認識していなかったし、
オットが暴れることを「家族として」恥ずかしい気持ちになっていたし、
自分が至らないからオットを怒らせてしまうのだと思い込んでいたし、

警察に助けを求めるという発想が全くなかった。
DVの被害者は、被害について打ち明けられない。も参照)

甚だ悔しい限りです。

配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)の一時保護について

この配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所、女性相談センター)での避難生活、、、しんどかったです。

最初に相談に行った時、「あなたも子供っぽいところがあるんじゃない?」なんて言われた。
↑DV相談に行って、相談員から非難を受けるとは・・・。
それでなくてもDV被害者は自責的なのに。
私の態度が良くなかった?
確かに、私の喋り方や考え方は、子供っぽいのかもしれないけれど。
でも、子供っぽいかどうかは、暴力を振るわれることに関係なくない?

一時保護入所の次の日の午後、担当が替わった(おそらく役所の配置転換の時期だった)とのことで、またもや事情聴取。イチから説明させられた。
↑何度も何度も同じことを説明させないでほしい。
いや、直接、本人から話を聞いたほうが良いことは理解できるけれど、キツかった。

三日目の夜中、他の部屋に母子が入所してきて、次の日、その母親につかまってしまい、酷いDV&浮気の話を延々と聞かされて疲れた。(笑)
次の日も、廊下で会うたびに自分の話をしたり、私のことを訊いてきたり。
↑被害を人に話すことができる人も居るのですね。羨ましい。
いや、DVから逃げて興奮されていたのかもしれないね。私は自分のことで精一杯で、話を聞いてあげられる余裕がなくて、ごめんなさい。

保護命令が発令されるかどうか不安で、かなりストレスフルだった私は、珍しく弱音を吐いてしまった。「早く帰りたいです。」と。
すると、職員に、「どうして保護命令なの?」と強い口調で言われた。
は? 「え・・・。弁護士さんに勧められたからです。」
↑私がどれだけ悩んで迷って保護命令の方法を採ったかなど、この職員には分からないのだろう。
おそらく役所の職員で、カウンセラーの資格なども持っていないと思われる。
今帰ったら(保護命令が発令されていない状態では)、水の泡でしょ?という叱咤激励だったのかもしれないけれど、だったら、そう言ってくれれば。
「ここに居ても退屈だからね。」とも言われたけれど、そうじゃないんだよなー・・・。

この職員、昼食時に職員用のテーブルで、自分の娘の自慢話(大学2年生で4年分の単位をほとんど取得した、とか)をしていた。
危険なオットから避難している母子が食堂に同室しているのに、大声でそんな話、する??

交代制で来られる寮母さん達は、とても親切でした。ご飯も美味しいし。
どうして悪くないほうが、こうやって逃げたりしないといけないのかしらね。理不尽よね。」と仰っていた。
ほんと、この、「なんで被害者側が逃げなきゃいけないの?」という気持ちは、ずーっと有る。
オットがマトモなら、シェルターに身を隠すというような経験をすることも無い。
普通なら、家庭が一番安心できる場所のはず。

警察の方も、とても親切でした。
警察官って、すごく怖いイメージだったのですが、生活安全課の方々は、優しくて安心感のあるオッチャン達でした。

専門家に相談すべし⑤(フェミニストカウンセラーさん)、につづく・・・。


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